AIと話していると、「さっき伝えたことを覚えているんだ」と感じることがあります。前の質問を踏まえて答えてくれたり、一度説明した条件を引き継いでくれたりするからです。
ただ、会話が自然につながると、仕事の状況もすべて把握しているように見えてしまいます。ここには、少し気をつけたい違いがあります。
会話履歴と最新の配送状況の違い
架空の通販サポートを例に説明します。
お客様から「まだ発送前なので、届け先を変更したい」と問い合わせがありました。AIが新しい住所を確認している間に、倉庫では商品が発送されたとします。
AIが会話を覚えていれば、「届け先を変更したい」という希望は把握できます。でも、それだけでは、その間に商品が発送されたことまではわかりません。
会話を読み返すだけで「変更できます」と答えると、実際の状況と食い違ってしまいます。この場面で必要なのは、過去のやり取りを思い出すことに加えて、今の配送状況を確かめることです。
人間の担当者が、注文画面で発送済みかを調べるのと同じです。
問い合わせ対応で使う三種類の情報
問い合わせ対応で使う情報は、大きく三つに分けると整理しやすくなります。
- 過去の会話:お客様が何を希望し、これまでに何を確認したか。
- 会社の案内:届け先を変更できる条件など、会社として決めているルール。
- 現在の状況:商品が発送済みか、変更手続きが完了しているか。
この三つは、それぞれ役割が違います。
過去の会話から希望がわかっても、会社のルールを知らなければ案内できません。ルールを知っていても、現在の状況を確認しなければ、そのお客様に当てはまるか判断できない場合があります。
AIにたくさんの情報を覚えさせようとする前に、「この質問に答えるには、どの情報が必要か」を考えることが大切です。
Zendeskでの情報参照と担当者への引き継ぎ
Zendeskを使う現場でも、この整理は役に立ちます。
問い合わせのやり取りでお客様の希望を確認し、FAQや社内の案内で対応条件を調べる。そして、注文や配送の最新状況は、それを管理しているシステムで確認する。こうして情報の役割を分けると、AIに任せたい仕事も具体的になります。
例えば、会話の整理や案内文の作成はAIに任せ、最新状況の確認が必要な場面では、担当者へ引き継ぐ方法も考えられます。システム連携によって確認できる範囲を広げる方法もありますが、AIを導入しただけで、すべての情報が自動的につながるわけではありません。
最初から何でも任せる必要はありません。まずは一つの問い合わせについて、「会話だけで答えられること」と「今の状況を確認してから答えること」を分けてみる。この区別ができると、AIに任せる範囲を決めやすくなります。
※本文は、架空の例を使った考え方の解説です。特定の環境での検証結果ではありません。
