人間とAIのアンケート回答の比較
「想定顧客をAIに演じてもらえば、アンケートの代わりになるのでは」。商品企画やサイト改善で試したくなる方法ですが、もっともらしい回答と、実際の顧客の声は同じではありません。
米Pew Research Centerが2026年9月30日に公表した研究では、実在する回答者の属性や過去の回答をAIへ渡し、本人の代わりに答えさせました。比較したのは同年1月・3月・4月の米国成人調査で、主なAI実験は3〜5月。比較対象は各回6,700人、3,398人、4,981人です。共通の調査パネルを使うため、足して「延べ人数=別々の人数」とは扱えません。
平均で約12ポイントのずれ
主にClaude Opus 4.6を使った実験では、約300の設問で、人間の調査とAIの回答割合に平均約12ポイントの差がありました。これは「12%の人を間違えた」という意味ではなく、選択肢ごとの割合の差を平均した指標です。
具体例として「データセンターについて多く見聞きした」という回答は、人間側25%に対してAI側3%でした。公表値から差を引くと22ポイント。AIが詳しい知識を説明できることと、人々が何をどの程度知っているかを再現できることは別だと分かります。
ただし、これは特定のモデル・設定と米国の世論調査を比べた研究です。日本の購入者調査でも同じ差が出る、すべてのAIが同じ性能だ、とまでは言えません。
企画案の作成と実際の調査の使い分け
この結果を業務に生かすなら、AIに考えさせた「顧客が困りそうなこと」は、確認前の仮説として扱うのがよいでしょう。質問案を増やす用途と、需要の割合を測る用途を分ける考え方です。
例えば問い合わせ窓口を改善するなら、AIの架空回答を100件作るより、実際の問い合わせを対象期間付きで整理します。同じ問い合わせの再送を重複として扱うか、1件に複数の困りごとがある場合はどう数えるかも決めます。「利用者の何%」なのか「問い合わせの何%」なのかを区別するだけでも、数字の意味は明確になります。
AIの出力を顧客調査の結果として掲載しない。実際の記録を使う場合も、個人情報の取り扱いと集計条件を確認する。AIによる仮説と実際の調査結果を区別して利用しましょう。
データ:比較した公表値(CSV) / 検算結果(JSON)
