Zendeskから2026年8月の新機能・変更点が公開されました。Support、AIエージェント、Copilot、ナレッジベース、音声、ワークフォースマネジメント、開発者向け機能など、対象は広範囲です。
この記事では、すべての変更を列挙するのではなく、Zendeskの管理者や運用担当者が優先して確認したい項目に絞ってお伝えします。
機能の提供状況は、契約プラン、アドオン、アカウント、段階的なロールアウトによって異なる場合があります。実際に利用する際は、管理センターとZendesk公式情報をご確認ください。
8月の主な変更点
- APIトークンが段階的に廃止されるため、外部連携の認証方式を確認する
- インテリジェントトリアージの利用範囲が広がり、AI分類を始めやすくなった
- Copilotが参照できるナレッジソースに、外部サービスや解決済みチケットが加わった
- ナレッジベースの記事表現と外部ナレッジ接続が強化された
- アクションフローの制御とエラー処理が強化され、業務自動化の幅が広がった
- ビューや通知など、エージェントの日常操作にも改善が入った
1. APIトークン認証の廃止予定
今回、最も早く確認したいのが、Zendesk Support APIにおけるAPIトークンの段階的な廃止です。
Zendesk公式情報では、次のスケジュールが案内されています。
- 2026年7月28日以降:未使用のAPIトークンを順次非アクティブ化
- 2026年10月27日:新しいAPIトークンの作成を停止
- 2027年4月30日:すべてのAPIトークンを無効化
現在、ZendeskとCRM、EC、基幹システム、社内ツールなどを連携している場合は、APIトークン認証が残っていないか確認が必要です。対象となる連携は、OAuthアクセストークンを使う方式への移行を検討します。
まずは、利用中のAPIトークン、利用している処理、管理担当者、停止時の影響を一覧化しておくと進めやすくなります。トークンを発行した担当者が不在の場合や、古いバッチ処理に埋め込まれている場合もあるため、早めの棚卸しが重要です。
2. インテリジェントトリアージを使える範囲が拡大
Copilotのインテリジェントトリアージが、Zendesk SuiteおよびZendesk SupportのProfessionalプラン以上に含まれるようになりました。
インテリジェントトリアージでは、受信したチケットを次のような情報で自動分類できます。
- トピック
- センチメント
- 言語
- エンティティ
分類結果は、振り分けや優先度判断だけでなく、問い合わせ傾向の分析や自動化ルールの設計にも利用できます。
ただし、分類項目を増やすだけでは運用改善につながりません。分類結果をどのビュー、トリガ、レポート、AI処理につなげるかまで決めておくことが重要です。
3. Copilotが参照できる情報が増加
オートアシストが提案を作る際に、Zendesk内のナレッジベースに加え、Confluence、Notion、Webクローラーなどの外部コンテンツを利用できるようになりました。
また、適切な記事やプロシージャが見つからない場合は、類似する解決済みチケットをナレッジソースとして利用できます。提案の根拠と関連チケットも確認できるため、エージェントは内容を確かめながら返信できます。
ここで重要なのは、参照先を増やすことよりも、どの情報を正として扱うかを整理することです。古い文書、重複した手順、例外対応を含む解決済みチケットが混在していると、提案品質が安定しません。
Copilotの利用を広げる前に、ナレッジの所有者、更新日、公開範囲、正確性を確認できる運用を整えておく必要があります。
4. ナレッジベースの記事作成と外部接続が強化
ナレッジベースの記事エディターに、アコーディオン、コールアウト、タブが追加されました。カスタムコードを使わずに、長い記事の情報を整理したり、注意事項を目立たせたりできます。
特に手順が長い記事や、製品・契約ごとに説明が分かれる記事では、読みやすさを改善しやすくなります。一方で、折りたたみやタブを増やしすぎると情報を見つけにくくなるため、見出しと本文だけで理解できる構造を基本にするのが安全です。
外部ナレッジソースへ接続するコネクタには、次のサービスが追加されました。
- Dropbox
- Jira
- Freshdesk
- Contentful
社内情報が複数のサービスに分かれている場合でも、Zendeskから利用できる範囲が広がります。接続前には、閲覧権限、更新責任、重複コンテンツ、個人情報や機密情報の扱いを確認します。
5. アクションフローの制御とエラー処理
アクションフローでは、カスタム変数、ループ、再試行ロジックが強化されました。各ステップでエラー時の動作を設定し、処理を停止するか、失敗時の経路へ進めるかを制御できます。
また、ServiceNow、monday.com、Microsoft Planner、Azure DevOps、Microsoft Dynamics 365、Snowflakeなど、外部サービスとのコネクタも追加されています。
これにより、Zendeskで受け付けた内容を別システムへ登録する、処理結果をZendeskへ戻す、失敗時に担当者へ通知するといった業務を組み立てやすくなります。
自動化では正常系だけでなく、認証エラー、必須データ不足、接続先の停止、重複実行などを前提に設計することが重要です。今回の強化は、そのための制御を管理画面で扱いやすくする変更といえます。
6. ビューと通知も日常運用に合わせて改善
Supportでは、ビューが1分ごとに自動更新されるようになりました。一括操作中は自動更新が一時停止するため、選択していたチケットが更新によってずれることも防げます。
メッセージング通知では、通知音、動的なファビコン、一定時間のミュート、未解決チケットに絞った通知リストなどが追加されました。複数の画面やアプリを使いながら対応するチームでは、更新の見落としを減らしやすくなります。
また、70個を超えるカスタムフィールドを持つチケットフォームでは、最初に表示するカスタムフィールドが50個までとなり、残りは「詳細を表示」から確認する形に変更されています。
フォームに多数のフィールドがある場合は、表示変更だけで終わらせず、現在使われていないフィールドや、条件付き表示へ変更できる項目がないか見直す機会にもできます。
その他の対象製品別の変更
今回のアップデートには、次のような変更も含まれています。
- 一部のAIエージェント(Advanced)利用環境における基盤移行
- Supportアプリ管理を委任できるカスタムロール権限
- 音声・コンタクトセンターのライブ会話ログと自動受付
- ワークフォースマネジメントの権限構造の細分化
- 品質保証における根本原因の最大3階層化
これらを利用している場合は、対象条件、提供時期、移行や設定変更の有無を個別に確認してください。
運用担当者向けチェックリスト
すぐに確認すること
- APIトークンを使用している連携がないか調べる
- APIトークンごとの用途と管理担当者を整理する
- OAuth移行が必要な連携の優先順位を決める
AI・ナレッジ活用で確認すること
- AI分類の結果をどの業務ルールへつなげるか決める
- Copilotが参照する情報の正確性と更新責任を確認する
- 解決済みチケットをナレッジとして使う際の品質基準を決める
- 外部ナレッジソースの権限と重複情報を確認する
自動化で確認すること
- 手作業で他システムへ転記している業務を洗い出す
- エラー時の通知、再実行、担当者対応を設計する
- 小さな範囲からアクションフローを検証する
まとめ
2026年8月のアップデートでは、AI機能そのものだけでなく、AIが参照するナレッジ、外部システムとの接続、自動化のエラー処理まで強化されています。
一方で、APIトークン廃止のように期限が決まっている変更もあります。新機能を試す前に、既存連携の認証方式とナレッジの状態を確認することが優先です。
KIRIKOMIでは、Zendeskの設定・運用改善、ナレッジベースの整備、外部システム連携を、実際の業務フローに合わせて整理・実装しています。
